少し前のことですが、高校生と話をする機会がありました。
その時の彼の言葉が、ちょっと意外に感じたのでシェアします。
大人の◯◯が残念
大人顔負けの活動をしている青年でした。その行動力は、たぶん同世代でも突出したものでしょう。
そんな彼に、ちょっと質問をぶつけてみたんです。
「大人を、不甲斐ないとか情けないとか感じることはある? それは、どんな時?」
高校生としては突出した行動力だからこそ、大人に接する機会が多いだろうと思ったのです。
「話を聴けない大人に感じますね」
意外と澱みなく答えが出てきました。そして、その答えは少し想定外でした。まさか、そこを指摘されるとは思わなかったという意味で。同時に、やっぱりそうだよねぇ、とも思うわけです。
もう少し詳しく聴いてみたら、
- 「話を聞く」と言っておきながら、人の意見を受け入れるつもりが無い
- 場合によっては自分の意見を通すために、「何でも聞くよ」と言っている
彼の肌感覚では、半分くらいの大人が、「聞くよ」という姿勢を、マウンティングするための戦略として使っていると。
半数というのは多いと見るか、少ないと見るか……(みなさんは、どう思いますか?)
嗚呼。隠せているつもりが、ちゃんと見抜かれているのですねぇ。
独りぼっちくん
この青年のようなタイプは、話の分かる大人を渇望しているのだろうというのが見立てられます。だからこそ、話を聴けない大人が余計に目立ってしまうというバイアスがかかることもあります。
荒野で、独り佇んでいるようなセルフ・イメージを持っているかもしれません。
特に彼の場合は、同世代で彼のレベルに付いてこれる人は少ないでしょう。それゆえに、同世代で分かり合える人が少なくなりがち。それならばと、年上に目を向けると、今度は話を聴ける大人がいないと感じているかもしれません。
何にせよ、聴く力が備わっていない人が多いのは間違いないですね。僕個人としても痛感しますし、僕自身も「できている」とは言えず、修行中です。
聴けば世界が広がる
仕事柄言えるのは、もう少し相手の話を聴く時間を増やすだけで、世界が広がるのに。勿体ないな〜と考えています。
普段は気付けないような、相手の本質に出会えるからです。
私たちが、人の話を聴くことを妨げているものがあります。
例えば「結論から話せ」などと言われること。
このことがバイアスになって、私たちは人の話を聴くことにエネルギーを割く優先順位が下がっています。学校教育で教えるわけではないので、ただでさえ低いのに。
結論から話すって、その人のキャラクターによって、やりやすいタイプと、そうではないタイプといます。
- やりやすいタイプ:論理的な傾向
- そうではないタイプ:情緒的な傾向
もちろん、綺麗に二分されるわけではなく、グラデーションになってます。個人的な肌感覚では、後者寄りのほうが多いくらいに感じています。
後者のタイプだと、本当に話したいことが、話題の後半に出てくることがあります。
例えば
この前、◯◯なことがあって
などと話してくれた最初の話題に、早々に反応して
それならさ……
みたい返してしまうと、仮に話し手の方が後者のタイプの場合、相手の本音や本当に出したかった話題に辿り着けずに話題が進んでいってしまいます。
「一を聞いて十を知る」なんて言葉もありますから、早々に理解したい気持ちも湧いてきますよね。
そこを少し我慢してみてほしいんです。「ああ、この話をしたいんだな」と思ったところがきても、あえてもう一段、相手の話を聴くようにしてみる。相槌を打ってあげて、あとは待つだけでもあるので、考えようによっては楽です。
すると、相手の本当の願いや想いが、その辺りから出てくることがあります。そこに触れたり目の当たりにできた時には、ジーンと感動があるんです。
あるいは、相手の本心に近いところを知れるというのは、人間関係を良好にしてくれます。
そういう可能性への機会損失を起こしてしまう。少なくとも「ただ、聴いて欲しいだけ」というニーズに応えられることにもなります。
ビジネスシーンでは、時間もコストとして捉えられてますから、「結論を先に」というのは、ある程度致し方ないところです。
いつでも、目の前の話し相手が結論から話してくれるとは限りません。こちらが、それを選ぶことは、本質的にはできないわけです。
目の前の人がどちらのタイプか、顔に書いてあるわけでもありません。同じ人でも状況によって変わることもあります。
まとめ
とある高校生に指摘された残念な大人の話から、聴くを大切にすることの価値をご紹介しました。
いつもより、少し長く聴いてみると、世界が広がりますよ、ということでした。
この記事も、後半のほうに言いたいことが出てきていたので、「情緒的なタイプ」の記事かもしれません(笑)
ちなみに、聴くための簡単なコツがあります。それを最後にご紹介しますね。
結論からお伝えすると(笑)自分の思考スピードを、話し手のそれよりも下げることです。話し手より早く思考が回っていると、どうしても先回りしてしまいます。その時に、「充分に聴けない」ことが起きるリスクが生じるわけです。
コメント