「死生観を深めて使命を探究する」というワークショップに参加しました。
これは、株式会社saniwa が、主に起業家や経営者向けの研修として開発中のものです。現時点では、テスト運用しており、特別に受けさせてもらったものです。
ワークを終えて、受け取っているものをレポートします。
ワークは、まず1日がかりのワークショップを実施。そこから、1週間、saniwaのメンバーと参加者とで集まり、10~15分ほどの瞑想的なワークを毎朝行い、最後に1時間ほど締めくくりのワークをして完了という流れです。
僕らが受けた時点でのものです。
タイトルの通り、良い意味で死を身近に感じることで、生を輝かせるというか、使命(=自分の命の使い方)についての視点を深めてみようというものでした。
使命についての解像度が上がった
タイトルにある「使命」という点では、かなり明確になった感覚があります。折りしも、「貢献」という、使命と似た言葉を探求していたところだったので、タイミングとしても良かった。
2017年、感ずるところあって、サラリーマンを辞め、コーチングをベースとした個人セッション事業を始めました。以来、一貫して、自分が重視してきたものがまとまってきました。
一人ひとりの真実を大切にする。
このウェブサイトのトップページに書いている「ありのままで満たし合う」も、この一人ひとりが持っている真実の違いを個性として活かし、そこから満たし合える。
そのためには、誰かに押し付けられた何かではなく、一人ひとりの内側で抱いている真実の願いなり想いなりを、貴重なものとして扱う。
全ての事業活動は、このことに集約しています。
使命の探求というテーマに即して見れば、僕なりに成果を感じることができましたし、人生の流れ方に変化を感じてきてもいます。
死が身近なものになる
「彼岸」という言葉があります。元々は仏教用語ですが、夏休みの「お彼岸」の語源ですね。
直訳すると「(川の)向こう岸」という意味合いになります。
1週間のプロセスの中で、仲間との何気ないやり取りで、死についてフラットに語り始めたりした自分がいました。
「明日を迎えられるって、誰にも選べないんだよね」
みたいな感じで。
変化を感じた瞬間です。
今だから言えることですが、これまでは「死」というものが、何か境界線を持って日常と切り分けられている感覚を抱いていた感じがします。
そこに変化が生じて、まるで2車線道路を走っていて、今走っている車線は「生」で、隣の車線が「死」である。そんなふうに、どこか遠ざけていたものが、近くなったというか、並んでいて、主観的には、まるで共にいるかのような距離感に近づいてきた。
これが、全体のワークを終えて感じたものでした。
死の準備ができていない
さて、今回のワークショップの一環として行われた毎朝のワーク。これは、死が間近に迫っており、日々、残りの人生をカウントダウンしていくという趣旨です。
正直、死が迫っているということに臨場感を味わうことが難しかった。朝のワークの直後は良いけど、日常の中に戻ってしまうと、どこかに飛んでいってしまいがちで、日常につなげるのが難しかったわけです。
あまりに臨場感を持たせ過ぎるのも危うい感じもしましたし。バランスが取りづらかったわけです。
何が、こうなってしまったのだろう?
「現実に、あと僅かのところまで死が迫っているという状況が本当にきても、思うように死までの準備を進めることはできないのではないか」ということにハッと気付かされました。
死が迫っていることを実感するタイミングというのは、最も有り得るのは、大きな病気が発見された時でしょう。
そうなった時点で、例えば、遺産なり遺言なりをどうするかとか、SNSのパスワードなどを家族に共有しておくとか、別れを告げておきたい人に会っておくとか、表現しておきたいことを表現しておくとかとか。
そういったことが、仮に、その病気が日常生活にほとんど支障を与えなかったとしても、今の自分が想像しているよりも、ずっと難しいのかもしれない。
死を意識して生きるということのスタート地点に立っただけなんだ。そのことを痛感させられたわけです。
雑感
ワークのデザインとしては、作り込む余地はまだまだありそうな感じでしたが、全体として、場が持つパワーは、既に十分なものがあったように感じました。リードする側が、自らの体験や取り組みから語っているのを、ひしひしと伝わってきましたし、その真摯さがパワーだなと。
ワークは、基本的にツインリードで進められます。リードする人の持ち回りによって、場の硬軟の使い分けがクッキリと出ていたのが良かった。
その特色を、もっと強調してもらっても良かったくらい。
感想としては、ちょっとしたコーチングやコンサルを受けているような時間でもありました。リードする側からも、一緒に参加しているメンバーからも、ふんだんにフィードバックの機会があったからです。
起業家や経営者は、主体的な課題に向き合う場面が多いので、こういう関わりをしてもらえることは心強いし、だからこそ、ここまでの感覚に至れたと言えるでしょう。
まとめ
死生観から使命を明確にするという主旨のワークショップに参加しました。
こうやってまとめてみると、使命についての解像度を上げる→死を現実のものとして感じる→ここがスタートラインだと気づく、という流れになりました。
新しいステージに上がって、でも、あくまでここはスタート地点である。入学式を終えたばかりのような心境です。
スティーブ・ジョブスが2005年にスタンフォード大学で行った伝説と称されるスピーチがあります。
その中で、「もし今日で死ぬとしたら、今日、自分がすることを、したいと思うだろうか?」と毎朝、自分に問いかけている、というエピソードが語られていました。
この取り組みは、多くの人が素晴らしいことだと考えると思います。でも、実際に、これに取り組める人はごく僅かでしょう。僕も取り組めなかったほうの人間になります。リアリティが得られなかったからです。
今までよりは、これに取り組めるのではないか。そんなふうに感じている今です。
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